鉄筋の技術力と、樹木・植物が持つ自然の力を未来へ

当社では、2018年より、株式会社グリーンエルム(林学博士 西野文貴氏)および 東海大学 建築都市学部 土木工学科 杉山太宏教授とともに、 樹木と鉄筋を組み合わせた防災インフラ化に向けた共同研究を進めています。

木を植えること。木を育てること。そして、木の根を強くすること。

それは、単なる緑化活動ではなく、災害の多い日本において、 自然と共に生きるための防災インフラづくりにもつながる大切な取り組みであると考えています。

当社およびTEAM KIOUETAIが、なぜ木を植え、なぜ木を強くしたいと考えているのか。 その原点につながる内容として、共同研究者である林学博士 西野文貴氏が noteで公開されている「鎮守の杜と災害大国から見たSDGs」をご紹介いたします。

鎮守の杜から学ぶ、持続可能な森の力

「鎮守の杜」と聞くと、神社を囲む神聖な森を思い浮かべる方も多いかもしれません。 しかし、鎮守の杜には、単に美しい景観や神聖な雰囲気だけではなく、 その土地本来の木々を守り、次の世代へつなぐ役割があります。

西野氏の記事では、日本の森林の成り立ちや、古くから森を守ってきた歴史、 そしてその土地に本来生育する木々で構成された森の大切さが紹介されています。

その土地本来の木々が育ち、種を落とし、次の世代へ命をつなぐ森は、 長い時間をかけて地域の環境と結びついてきた「持続可能な森」です。

当社が取り組む「樹木×鉄筋による防災インフラ化に向けた研究」も、 こうした自然の持つ力や、先人たちが守り育ててきた森づくりの知恵に学びながら、 現代の技術と組み合わせていくことを目指しています。

木の根が支える、防災・減災の可能性

西野氏の記事では、鎮守の杜が持つ防災・減災の役割についても紹介されています。

その土地本来の多様な木々で構成された森は、 台風、地震、津波、火災など、さまざまな自然災害に対して 強さを発揮する可能性があるとされています。

その理由の一つが、地上に見える木々だけでなく、地下に広がる「根」の存在です。

多様な樹木が育つ森では、地中にも多様な根が張りめぐらされます。 それぞれの根が土の中でつながり、土壌を支えることで、 土砂災害などに対する防災・減災効果につながると考えられています。

木を強く育てること。根を強くすること。地域に合った森を育てること。 それは、未来のまちを守るための、大切な基盤づくりでもあります。

東日本大震災の津波に耐えた鎮守の杜

鎮守の杜と災害大国から見たSDGs(Ⅲ)」では、 東日本大震災の津波に耐え抜いた鎮守の杜の事例が紹介されています。

岩手県上閉伊郡大槌町・吉里吉里にある天照御祖神社の鎮守の杜では、 タブノキ、シロダモ、ヤブツバキ、マサキ、ケヤキなど、 その土地本来の木々が生育していました。

津波により海水をかぶった木々は一時的に葉を落としましたが、 枯れることなく、翌年には花や実をつけたと紹介されています。

一方で、人工林や単一に近い樹種で構成された森では、 大きな被害を受けた事例も示されています。

このことは、木を植える際に、単に本数を増やすだけではなく、 「どの土地に、どの木を、どのように植え、どのように育てるのか」を 考えることの重要性を教えてくれます。

人工構造物だけに頼らない、自然と共にある防災へ

防災というと、コンクリートや鉄などの人工構造物を思い浮かべる方も多いかもしれません。 もちろん、人工構造物は私たちの暮らしを守るために欠かせない重要なインフラです。

しかし一方で、木や森もまた、長い時間をかけて地域の環境とつながりながら、 土を支え、風を受け止め、雨水を抱え、生きもののすみかとなり、 景観をつくってきました。

当社では、樹木の持つ自然の力に着目し、 鉄筋との組み合わせによって、より強く、より持続可能な防災インフラとして 活用できないか、研究を進めています。

これは、人工構造物と自然を対立させる考え方ではありません。 鉄筋による技術力と、樹木・植物が持つ自然の力。 その両方を活かしながら、人と自然が共に生きる未来の防災インフラを考えていく取り組みです。

樹木を、未来の防災インフラへ

当社が目指しているのは、木を単に植えるだけの活動ではありません。

木を強く育てる。根を強くする。地域を守る緑を育てる。 そして、まちと自然をつなぐ新しい防災インフラとして、 樹木の可能性を広げていく。

そのために、鉄筋を本業とする当社の技術力と、 林学・土木工学の専門的な知見を組み合わせながら、研究を進めています。

「樹木×鉄筋による防災インフラ化に向けた研究」は、 自然の力を尊重しながら、現代の技術によってその力を支える試みです。

防災、減災、環境保全。 そして、持続可能な緑あふれる未来社会へ。

当社は、木と共に地域を守る新しい可能性を、一歩ずつ形にしてまいります。

共同研究について

本研究は、2018年より、株式会社グリーンエルム(林学博士 西野文貴氏)および 東海大学 建築都市学部 土木工学科 杉山太宏教授とともに進めている共同研究です。

樹木、根、土壌、鉄筋、構造、防災という複数の視点を組み合わせながら、 災害に強いまちづくりや、持続可能な環境づくりへの応用を目指しています。

今回のページは、その研究を広く知っていただくための第一弾として、 まずは「なぜ木を強くしたいのか」「なぜ木を植えるのか」という原点をお伝えする 序章として公開するものです。